美容室でUSP(ユーエスピー)を作成する手順を実例付きで紹介
私たち広告代理店(制作会社)は、よくサロン様に「貴店の強み(ウリ)は何ですか?」とお聞きします。これは、他店と差別化できる明確な独自資源があり、それが消費者のニーズに合っていれば集客やブランディングに繋がると考えるからです。その強み(ウリ)を分かりやすく消費者に届けるのが私たちのミッションとなります。
しかし、限られた紙面やメディアで確実にその強みを消費者に届けるのは簡単なことではありません。特に美容室の場合、扱っているメニューは基本的に「カット」「カラー「パーマ」「トリートメント」など同じです。メーカーや施術内容が違うにしろ消費者からすると違いを感じにくくなってしまいます。
そこで、最近美容業界(美容院やネイルサロン)でも注目されているのが「USP」というマーケティング用語です。美容室のウリや商材・メニューの強みがキャッチコピーのようになり、ターゲットに届くことで訴求力を増すことができます。
強みを消費者に約束することで生まれるUSPとは
USP(ユー・エス・ピー)とは、1960年代にロッサー・リーブスという方が提唱したのが始まりです。それぞれの頭文字をとって出来ているワードです。
U ⇒ Unique (ユニーク→独自 ※特徴)
S ⇒ Selling(セリング→売り ※強み)
P ⇒ Proposition(プロポジション→提案 ※メリット)
「独自の売りでお客様にどんな提案ができるか?」「特徴のある強みでお客様にどうメリットを感じてもらえるか?」といった事をコピーとして置き換える事ができますね。
USP事例をピックアップしてみました
一般企業の取り組みを例にUSPをイメージしてみましょう。有名なものから個人的にこの言い回しはUSPかなと思うものをピックアップしてみました。商品力があってもそれが消費者の心に響かなければ購買や来店に繋がりません。その課題を克服するため、文章として表面化させる理論を用いているのがUSPです。
■ドミノピザ
熱々でジューシーな美味しいピザをお宅まで30分以内にお届けします。間に合わなければ、代金は頂きません。
U(特徴)・・・間に合わなければ代金は頂きません
S(強み)・・・30分以内でお届けします
P(メリット)・・・熱々でジューシーなピザ
■ライザップ
結果にコミット!2ヶ月でこの体。ダメなら全額返金
出典:http://www.rizap.jp/concept/
⇒美容師さんでもされている方いらっしゃいますね。ケイアートでも流行りました。笑
■ユニクロのフリース
「軽い、洗える、乾きが早い、安い」
出典:http://www.uniqlo.com/jp/store/feature/uq/fleece/men/
■吉野家
旨いつまみでチョイと一杯「吉呑み」
出典:http://www.yoshinoya.com/yoshinomi.html#anc02
⇒2015年ヒット商品ランキング7位に「チョイ呑み」がランクイン。その中でも吉野家さんは売上がかなり上がったようです。
■南アルプスの天然水&ヨーグリーナ
透明なのに贅沢なヨーグルトの味わいをお楽しみください
出典:http://www.suntory.co.jp/water/tennensui/product/yogurina.html
⇒2015年ヒット商品ランキング9位にランクイン。
■受験シーズンに進化型シャープペン「デルガード」
筆記中の、あらゆる角度のどんなに強い筆圧からも折れないように芯を守ります
出典:http://www.zebra.co.jp/press/news/2015/1001.html
⇒2015年ヒット商品ランキング16位に「折れないシャープペンシル」がランクイン。このペンは、私も会社の同僚にプレゼントしました。
■ダイソン
吸引力の変わらないただひとつの掃除機
出典:http://www.dyson.co.jp/dyson-vacuums/cylinder/dyson-ball-fluffy.aspx
美容室でUSPを作成する前に
ロッサー・リーブスは、「メッセージは消費者に対する「提案」(プロポジション)でなければならない」と言っています。USPとは、この商品を買えば、この便益(ベネフィット)が手にはいります」と消費者に訴求することです。またその提案は、「競合が出来ない独自(ユニーク)のもでなければならない」とも言っています。要するに、自店だからこそできる顧客への提案となります。という事は、自店のUSP、もしくは企画やキャンペーン毎のUSPを決める前に必要になるのが3C分析です。
ペルソナ設定
USPは消費者に説得力のあるものでなければいけません。その為には、誰に訴求したいメッセージなのかを決めておく必要があります。美容室のターゲット設定でよくお聞きする「30代ミセス」だけではイメージがつくにくくなってしまいますので最初にペルソナを設定すると良いでしょう。
競合分析
強みとは、消費者にとって相対的なものです。自店でいかに「これが強みだ!」と言っても、同じことをしている競合店があれば、消費者はそれを強みだと感じてくれません。最低限の競合情報だけでも整理しておくと良いでしょう。
参考:美容室のホームページ競合店調査で他店より良いWEBサイト運営を目指す
USPを作成してみる
独自の強みをペルソナ目線のメリットで抽出(以下例です)
料金 メニューや商品で思い切った特典や付加価値を用意できるか。
時間 絶対にお待たせしない。施術時間がすごく早い。早朝(夜間)営業をしている。など
保証 お客様の満足度に対してどこまで保証するのか。技術保証の範囲や期間。
品質 スタイルや再現性のクオリティがどれぐらい可愛いのか。似合わせれるのか。
店舗 立地やそれぞれの施術スペースのこだわりはお客様にどんな居心地を提供するのか。
人財 スタッフのキャリアや実績。得意な接客や技術はお客様にどう喜んで頂けるのか。
商品 シャンプーやトリートメントの成分や施術方法で独自の強みはないか。
客層 どんなお客様に支持されているのか。数値で表せるものはないか。
実績 取材実績や賞(イベントやコンテスト)などでインパクトのあるものはないか。
上記で出てきた内容をさらに磨く事ができるか検討
ドミノピザは30分以内にお届けできなかったら無料。という覚悟。
ライザップはダメなら全額返金。というノウハウを蓄積。
シャープペン「デルガード」は0.3ミリでも折れない。という追及。
吉野家は「チョイ呑み」。でサービスを居酒屋寄りに展開しました。
これらは、商品力もあれば「決断」する事で取り組めることなどもあります。消費者(ペルソナ)に選ばれるために『今できること』もあれば『磨くことによって訴求力が増すもの』があるのではないでしょうか。
文章化する
①仮の文章をつくる。
「〇〇美容室には、〇〇という特徴があります。だからこそ〇〇というウリがお客様に〇〇のように喜んで頂けます」
②言葉の言い回しや順番を変えてみる。
③言葉を付け足してみる。もしくは削いでみる。
④長くても50文字ぐらいで文章(コピー)を完成させる。
まとめ
USPは、キャッチコピーにもなり、ブランドメッセージにもなり、マーケティングコンセプトにもなり得ます。これは、単に「売り文句」としてUSPを設定するわけではないからです。お店の戦略や戦術と密接に絡むものでなければいけないからです。美容室の広告宣伝が難しくなってきている昨今、このようなUSPを打ち出すことで商圏内のペルソナにより浸透できるよう、私達も努めていきたいと思います。